こんにちは、やくえいといいます!
人工知能(AI)はここ数年で急速に普及してきていて、業務の中で取り入れている薬局や病院も増えてきているんじゃないでしょうか。
僕の病院はAIをまだそれほど使っていませんが、「○○病院や○○薬局は調剤ロボットや監査システムを入れてるらしい」なんて噂を聞いたりするとちょっと焦ってきませんか。
「AIが普及するにつれて薬剤師の仕事はなくなってしまうのではないか?」
そんな不安を僕も感じたことがあります。
普段、薬剤師として業務をしながらいくつも書籍を読んできた中でAIに勝つための僕なりにたどり着いた答えをご紹介します。
その答えとはズバリ「判断力」です。
人間はAIに対して判断力の面では勝てる見込みがあります。
今回はその判断力を向上させる方法もご紹介していきます。
2021年時点でのAI活用場面
急速に発展しているAIですから数年のうちにさらに薬剤業務は取って代わられるでしょう。
現時点で活用されている主なものは以下の通りです。
・薬剤のピッキング
・監査システム
・薬歴管理
・対人業務
もうすでに薬剤師業務の大半を占めているんじゃないかと思ってしまうほどです。
一つ一つご紹介していきましょう。
薬剤のピッキング
薬剤のピッキングは薬剤師であれば取り違えなどがありえますが、AIはそんなことありません。
薬剤ピッキングロボットを導入することにはどのようなメリットがあるでしょうか。
①取り間違いなし
②誰もが使える操作性(人によって業務スピードが変わらない)
③様々な薬剤に対応(あっちに錠剤、こっちに軟膏なんて移動しなくて良い!)
④重点も効率的に(使用量に応じて充填!在庫管理がラク!)
⑤サイズバリエーション(店舗や薬剤部の広さに応じて調整可能)
もちろんそれなりに費用のかかる代物ですが、人件費と比べるとどうでしょう。
将来の投資という意味で購入している経営者もいるかもしれません。
【参考】yuyama|自動薬剤ピッキング装置Drug Station
https://www.yuyama.co.jp/product/products/drugstation.html
監査システム
監査も間違えがあり得る業務ですが、それは健康被害に直結する事項です。
監査者の負担は大きいものと思われます。
AIによる監査システムはピッキングと一体となっているものもあります。
①GS1やバーコード認証による照合(目視以外でも取り違え防止)
②一方化されているものでも鑑別可能なものもある(裸錠監査負担軽減)
③天秤による計測、カメラによる記録(万が一に備えて追跡可能)
こちらももちろんそれなりに費用がかかります。
しかし、監査者の負担軽減や業務効率の向上にはプラスでしょう。
【参考】yuyama|調剤監査システム
https://www.yuyama.co.jp/product/products/inspection.html
薬歴管理
薬歴管理は薬剤師業務の中で大きな負担となっているものです。
「薬歴が書き終わらない……」と残業することも珍しくありません。
AIは薬歴管理をサポートしてくれるだけでなく、服薬指導サポートや顧客管理もしてくれます。
①業務効率の向上(薬歴の下書きを服薬指導中に自動作成!)
②服薬指導サポート(イラストによる健康アドバイスや写真付きの指導文により会話のきっかけにも)
③在宅業務の効率化(クラウドなので薬局”外”でも薬歴作成可能!在宅報告書にも自動転記!)
もはやこれがあるのとないのでは業務効率は大きく違いますね。
業務の質も変わってくるかもしれません。
【参考】株式会社カケハシ|Musubi
https://musubi.kakehashi.life/
対人業務
2020年から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策に追われた薬局や病院は多くあるかと思います。
かからない、うつさないが感染拡大のテーマであっただけに受付などの業務では神経質になります。
①人と接触しない(ロボットであればウイルスはうつらない)
②受付番号発行(待ち順番がはっきりする)
③ニーズの自動振り分け(多様な来局目的が明確になる)
受付時に目的やその人が急いでいるかどうかがはっきりするのは良いですね。
何より接触する時間が短いことはCOVID-19だけでなく、インフルエンザなどの他の感染症にも有効です。
【参考】株式会社メディエイド|Palette line
https://mediaid.co.jp/LP/pcp2/
薬剤師がAIに勝てる知能指数とは?
薬剤師が知能の面でAIに勝てることってあるんでしょうか。
前の項で挙げているように薬剤師業務のほとんどはAIに取って代わられるのは時間の問題かもしれません。
ところで知能指数はいくつか分類されることをご存じでしょうか?
以下の通りに分けて考えると活路が見い出せるかもしれませんよ。
・知能指数
(IQ:Intelligence Quotient)
・心の知能指数
(EQ:Emotional Intelligence Quotient)
・判断力の知能指数
(JQ:Judgement Intelligence Quotient/Judgement Quality)
これら以外にも逆境力のAQ、社会性のSQ、ビジネス感度のBQなどもあります。
今回は3つに絞っていきます。
知能指数(IQ)
IQは平均を100としてその人の年齢に対して知能が高いか低いかを表すものです。
定義としては以上のようなものですが、AIはもちろん年齢はあまり考慮しなくても良さそうですね。
そしてIQでは人間がAIに追い越されるであろうことは誰も異論はないかと思います。
IQにおいてはAIを頼ること、上手く活用することが今後の薬剤師には求められてくるのではないかと考えます。
心の知能指数(EQ)
「IQではAIに勝てなくてもEQでは追いつかれるわけがないだろう。」
そう思っている人は多いのではないでしょうか。
僕も以前はそう思っていました。
喜怒哀楽を表現する、あるいは感じ取るようなプログラムがあります。
ロボットにそれをプログラミングして合成音声で表現するとどうでしょう。
今は精度に課題があるかもしれませんが、患者さんの感情に寄り添うことはそのうちAIでもできてしまいそうですね。
判断力の知能指数(JQ)
JQは倫理的に、つまり「善か悪か」を判断する力です。
AIはこのJQが苦手と言われています。
というのも、AIはビッグデータの中から最も効率的なものを判断して選択するからです。
そこに倫理という要素が絡むことはほぼないと言って良いと思います。
むしろその倫理を非効率的であると判断することもあるでしょう。
将来、数ある医学論文やガイドラインなどを元にAIが「この患者さんには適切」と判断した処方提案をするようになってくると考えられます。
ただし、その提案が患者さんにとって本当に良いことなのかはわかりません。
その判断ができるよう力を蓄えておくことが薬剤師がAIに勝てる術だと僕は考えます。
判断力の知能指数を上げるには?
さて、その判断力の知能指数を上げていくにはどのようにしたら良いでしょうか。
以下に具体的な方法をお示しします。
・資格を取る
・書籍を読む
・SNSで情報収集する
・転職する
もちろんここに挙げたことだけではいけません。
普段の薬剤師業務をしっかり理解することがまず大事です。
資格を取る
まず、判断力を上げるには認定薬剤師などの資格取得を目指すのも良いかと思います。
より深い知識を学べる機会であることはもちろんですが、認定薬剤師などは倫理感についても学ぶことがあり判断力の向上につながるでしょう。
とはいえ、若いうちは何を目指すのが良いのかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずはじめに目指すと良い資格もあります。
薬剤師をやっていると取得に有利になる資格もあります。
違った視点から患者さんを見ることができるので判断力にはプラスでしょう。
書籍を読む
医学や薬学に関する書籍を読むことによって知識が蓄えられます。
ですが、判断力を上げるためにはそれ以外の倫理感なども必要です。
様々なジャンルの書籍を読むと良いと思います。
多くの書籍を読むにあたっては紙媒体のものも良いですが、電子書籍も用いましょう。
どちらにもメリット・デメリットがあります。
繰り返し読むものなんかは紙媒体のほうが良いかもしれませんね。
最近では「耳で聴く読書」もあり、ながら読書もできるため読書のハードルは下がってきています。
Amazon:Audible公式サイト
SNSで情報取集する
Twitter、InstagramなどのSNSでは薬剤師をはじめとした医療関係者や薬学生の方が多くいらっしゃいます。
非常に有益な情報配信して頂いている方もいれば、同じような悩みを抱えている方も少なくありません。
こういった自身の職場以外の方との交流は働く中で身に付いた固定概念を払拭してくれます。
SNSを始める上でデメリットはほぼないと言っても過言ではないので、まずはアカウント開設後に情報発信していそうな人をフォローしましょう。
転職する
職場を変えることもSNSと同様に固定概念の払拭につながります。
SNSでの情報交換では働く環境が変わるわけではないので、根底から変えるのは難しいです。
仕事のやり方や職場のマニュアルは身に付いてしまったら、たとえそれが間違っていてもそれを疑問に思うことはなくなってしまいます。
職場を変えるだけでなく、職種を変えることも場合によっては良いかもしれません。
薬剤師としてできる仕事は調剤や服薬指導だけではありません。
培った判断力は別の仕事や環境でも発揮できると思います。
まとめ
今回は薬剤師の将来についてAIに取って代わられてしまうのかどうか、不安に思っている方に対して僕なりの答えをご紹介してきました。
文中ではAIに勝つ負けるなどの表現をしていますが、実際のところAIを上手く使って薬剤師の業務効率も質も上げていくことが大事です。
その中で薬剤師にしかできないことでAIに取って代わられないよう力を発揮する必要があります。
その力こそ「判断力」ですね。
判断力を上げるには以下のことに取り組みましょう。
・資格を取る
・書籍を読む
・SNSで情報収集する
・転職する
すぐ取り掛かることもできるものもあれば、時間のかかるものもありそうです。
ですが、そもそも判断力を培うには1日や2日では難しいでしょう。
結局積み重ねが必要ですが、今日一歩を踏み出せば昨日よりは良くなっているはずです。
少しでも多くの薬剤師さんに将来ご活躍頂けたら幸いです。
それではまた!
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