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薬歴の書き方事例②~プロブレムリストで患者さんの差別化を!

スキルアップ

こんにちは、やくえいといいます!

患者さんに対しては同じ指導にならないように、個別の介入が必要だよって良く言われています。
とはいえ、同じような疾患の治療をしている方をそれぞれ別の指導って言われても難しい話です。
似たような方だと把握できなくて「この人って何すれば良いんだっけ?」なんてのはよくあります。

僕は普段病棟で入院患者さんに服薬指導しています。
1病棟1診療科が基本なので似たような治療している患者さんばかりです。
それぞれの患者さんを個別に指導できるようにどんな人か把握しておく必要があります。

はじめのうちは全く患者さん個々が把握できなくて、「この人に何をしたら良いんだっけ?」状態でした。
薬歴にプロブレムリストをしっかり記載ことによって把握できるようになりました。
今回は薬歴の事例についてご紹介していきますが、その前に以下の記事を読んでおくことをオススメします。

【若手薬剤師向け】プロブレムで差をつけろ!継続患者さんの薬歴
こんにちは、やくえいといいます!薬局に再訪してくれた患者さんや、病棟で2回目以降の薬剤管理指導の患者さんと話す時にも事前に情報収集って大事です。そんな時は前回の薬歴なんかを見たりしますよね。でもプロブレムがしっかり立てられていない...

処方箋の受付と病態の推測

74歳 男性
身長/体重:165cm/70kgくらい
【処方箋の内容】
アピキサバン錠5mg 1日2回 1回1錠
        朝・夕食後 28日分
アムロジピン錠5mg 1日1回 1回1錠
オルメサルタン錠10mg 1日1回 1回1錠
シタグリプチン錠50mg 1日1回 1回1錠
ヒドロクロロチアジド錠12.5mg 1日1回 1回1錠
ビソプロロール錠2.5mg 1日1回 1回1錠
            朝食後 28日分
ボグリボースOD錠0.2mg 1日3回 1回1錠
           毎食直前 13日分

カナグリフロジン錠100mg 1日1回 1回1錠
            朝食後 28日分

この患者さんは2度目の来局です。
まずは処方箋内容の確認ですが、ヒドロクロロチアジドが中止になっています。
それからボグリボースがカナグリフロジンへ変更になています。
では前回の薬歴からプロブレムリストとプランを確認しましょう。

#1 脳梗塞再発予防のための服薬遵守
OP)アドヒアランス確認、HbA1c確認
CP)お薬手帳へ服薬状況と薬剤変更の提案を記載した。
EP)正しく内服することにより血糖や血圧を管理していくことが重要であると指導した。

#2 降圧利尿による夜間頻尿
OP)血圧確認、排尿回数確認
CP)お薬手帳へ薬剤変更の提案を記載した。
EP) 利尿剤を中止する代わりに塩分制限について指導した。

脳梗塞の再発予防をするためにアドヒアランスを高めることと利尿剤による夜間頻尿が課題でした。
それからお薬手帳へ薬剤変更の提案をしたことによって処方内容が変わったようですね。
詳しい内容は前回の薬歴を参照する必要がありますが、思い込みはいけません。
変更された経緯などは改めて患者さんへ聞いてみるほうが良いです。

今回の服薬指導では薬剤変更になった経緯から入ってみます。
それから立案しているプロブレム、プランについても指導していきましょう。

服薬指導の例

薬が変わりましたね。
先生とどんなお話をしたんですか?

いやいや、この前お薬手帳に書いてくれたものをそのまま先生に見せただけだよ。
先生から薬の話されたけど、よくわかんなかった。
次からは食後の薬だけになったんだよね?

お薬手帳を先生に見せて頂いたんですね。ありがとうございます。
そうですね、食前の薬がなくなって食後だけになりました。
ではお薬の説明をしていきますね。

よろしくね。
なかなかカタカナが覚えられないし、薬の違いもよくわからないよ。

なじみがないと覚えにくいですよね。
まずは、ボグリボースという糖の吸収を抑えるお薬がカナグリフロジンというお薬に変わりました。
こちらのお薬は尿中への糖の排泄を促します。

薬が違うってことはわかった。
それで普段何か変わるのかい?

そうですね・・・はじめの1週間はおしっこの回数や量が増えるかもしれません。

え、おしっこの薬止めてもらったのに結局同じなの?

今回のお薬はおおよそ1週間くらいで落ち着いてくると思います。
その間は水分はこまめに摂ってください。
それ以降も喉が渇いたら水分は摂るようにしてくださいね。

ん~まぁ食前の薬がなくなったんだし、1週間くらい我慢するか。
朝夕の食後だけだったら何とか飲み忘れもないだろうし。
次また採血あるから、その次の結果が変わるかな。

すみません。ご理解いただいてありがとうございます。
もしかしたら採血結果に反映されるのは次々回くらいかもしれないので結果として知れるのは3ヶ月後くらいかもしれません。
それから減塩には取り組めていますか?

いや、それは。何からやったら良いか考えてはみたんだけどね。
妻に味付け変えてくれって言うのもねぇ。味が薄くなっちゃうのも嫌だし。
難しくて何もできてないよ。

ではまずは醤油などの調味料を減塩のものに変えてみることから始めてはいかがでしょうか。
はじめなので、分量などは大きく変えなくても良いと思います。

そのくらいならできそうかな。
今度の買い物に付いていって減塩のものを買うようにしよう。

それができたらまた次の減塩について考えてみましょう。
それから血圧手帳にも薬が変わったことと、減塩について話したことも書いておきましょうか。
血圧は前回とあまりかわらないようですね。(130/80台)

そうだね。ありがとう。
数字に出てくるとすぐわかるね。変わってくるかなぁ。
また相談に乗ってね。

もちろんです。
お大事に~

患者さんとの話はS:主観的情報です。
会話の中で血圧の値が出てきていますが、こちらはO:客観的情報になります。
では、服薬指導が終わりましたので薬歴に記録していきましょう。

薬歴の記録の例

#1 脳梗塞再発予防のための服薬遵守

S:Subjective data(主観的情報)
この前お薬手帳に書いてくれたものをそのまま先生に見せただけだよ。
なかなかカタカナが覚えられないし、薬の違いもよくわからないよ。
朝夕の食後だけだったら何とか飲み忘れもないだろう。
次また採血あるから、その次の結果が変わるかな。

O:Objective data(客観的情報)
【処方箋の内容】
アピキサバン錠5mg 1日2回 1回1錠
        朝・夕食後 28日分
アムロジピン錠5mg 1日1回 1回1錠
オルメサルタン錠10mg 1日1回 1回1錠
シタグリプチン錠50mg 1日1回 1回1錠
ヒドロクロロチアジド錠12.5mg 1日1回 1回1錠
ビソプロロール錠2.5mg 1日1回 1回1錠
            朝食後 28日分
ボグリボースOD錠0.2mg 1日3回 1回1錠
           毎食直前 13日分

カナグリフロジン錠100mg 1日1回 1回1錠
            朝食後 28日分


74歳 男性 身長/体重:165cm/70kgくらい

A:Assessment(評価)
アドヒアランス低下につながっていた食前薬が中止となりアドヒアランス向上が期待できる。
HbA1cの変動も考えられるが、数値として変化してくるのは1~2ヶ月後程度先と考える。
早ければ来月の採血、再来月には変化が見られる可能性はある。
SGLT2阻害薬の開始に伴い尿量増加が考えられ、アドヒアランス低下につながらないか不安要素はある。

P:Plan(計画)
#1 脳梗塞再発予防のための服薬遵守
OP)アドヒアランス確認、HbA1c確認
 ⇒次回受診時採血予定、次々回結果確認
CP)お薬手帳へ服薬状況と薬剤変更の提案を記載した。
 ⇒ボグリボースからカナグリフロジンへ変更となった。
EP)正しく内服することにより血糖や血圧を管理していくことが重要であると指導⇒済み
  SGLT2阻害剤によって開始1週間程度尿量増加するため水分をこまめに摂るよう指導した。

#2 降圧利尿による夜間頻尿

S:Subjective data(主観的情報)
おしっこの薬止めてもらったのに結局同じなの?

O:Objective data(客観的情報)
【処方箋の内容】
#1参照

BP:130/80台

A:Assessment(評価)
ヒドロクロロチアジドが中止となり、飲水機会が減ることによって夜間頻尿の改善が期待できる。
ただし、SGLT2阻害剤の開始によって1週間程度は尿量増加により水分摂取の必要があるためそれ以降の改善となると考える。

P:Plan(計画)
#2 降圧利尿による夜間頻尿
 ⇒終了とする。

S:Subjective data(主観的情報)
妻に味付け変えてくれって言うのもねぇ。味が薄くなっちゃうのも嫌だし。
難しくて何もできてないよ。
今度の買い物に付いていって減塩のものを買うようにしよう。

O:Objective data(客観的情報)
【処方箋の内容】
#1参照

BP:130/80台
食事:妻の手料理

A:Assessment(評価)
現状塩分制限に対しては取り組めていないと言える。普段の食事は妻の手料理のため自身での管理意識は低い可能性が考えられる。
一緒に来局されれば塩分制限について指導する機会もあるが、まずは調味料を変える等から始めて意識付けをすることが重要と考える。

P:Plan(計画)
#3 血圧管理のための塩分制限指導
OP)血圧確認、塩分制限ができているか確認
CP)血圧手帳へ指導内容を記載した。
EP)まずは調味料を減塩のものへ変えてみることから始めるよう指導した。

今回で「#2 降圧利尿による夜間頻尿」を終了としていますが、確認という意味で次回まで続けても良いかもしれません。
また、新しく「#3 血圧管理のための塩分制限指導」のプロブレムを立てています。
以降は「#1 脳梗塞再発予防のための服薬遵守」と「#3 血圧管理のための塩分制限指導」をプロブレムリストとして介入していきます。

プランにはやったことに対して「済み」や「未実施」などど記載しておくと、実施したかどうかがわかりやすくて良いです。
やり忘れたことなんかがあってもこれなら次回に実施できそうですね。

まとめ

今回は2回目以降の指導・薬歴の記録について記事にしてきました。
「この患者さん、何してたんだっけ?」を少しでも減らしましょう。

そのためにはプロブレムをきちんと立てて薬歴に明記しておくことです。
継続の患者さんにも同様にきちんと立てて対応することです。
それを続けていくことによって似たような疾患の患者さん同士でも同じ介入方法、薬歴にはならなくなります。

また、患者さんをプロブレムで把握することができるのですぐにどんな患者さんだったかを思い出すことができます。
患者さん側も覚えてくれている人のほうが信頼すると思います。

今回の記事が1人でも多くの薬剤師さんの参考になれば幸いです。

それではまた!

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