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急変時もあわてない!使用する薬剤を整理しておこう!

スキルアップ

こんにちは、やくえいといいます!

急変時は現場がかなりバタバタしており、現場で薬剤管理しようにもそんな雰囲気の中ではあわててしまうこともあります。
普段とは違う状況では正しい判断ができないこともあり、本来疑義照会すべき内容も見落とすことにもなりかねません。

薬剤師だって急変対応|悔しい思いは終わりにしよう!という記事でも急変対応で薬剤師ができることについてご紹介してきました。
今回の記事では薬剤管理を中心に解説していきます。
この記事を参考にして頂ければ、事前に知識を整理することによって急変時にあわてることもなくなります。
僕も急変時の薬について整理できていなかった時は急変対応であわてていました。
急変時の薬剤について整理するには、使用する薬剤や実際に使用する場面を知っておく必要があります。
これらを知って整理することによって、現場でもあわてることなく薬剤管理ができるようになります。

使用する薬剤

JRC蘇生ガイドライン2015では蘇生時に使用する薬剤を以下のように整理しました。

血管収縮薬
 ・アドレナリン
抗不整脈薬
 ・アミオダロン
 ・ニフェカラント
 ・リドカイン
その他の薬剤
 ・炭酸水素ナトリウム

抗不整脈薬については後述するVF/VT波形の時に使用します。
これらの薬剤以外にも自己心肺再開(ROSC)後に血圧管理をしていきます。
その時に使用する薬剤はノルアドレナリンドパミンです。

アドレナリン
心停止が続いている間は波形に関わらず標準用量で投与します。
成人:1mg/回、小児:0.01mg/kg/回を3~5分おきにボーラス投与します。
一般的に急変時は2分おきに心電図チェックをしますので、2サイクルごとに投与します。
電気ショック適応の場合は先にショックしてからアドレナリンを投与します。

アミオダロン
クラスⅢ群の抗不整脈薬でVF/VT時の第一選択薬です。
300mgまたは5mg/kgを5%ブドウ糖20mLで溶解してボーラス投与します。
効果が認められない時は150mgまたは2.5mg/kgを一度だけ追加投与できます。

ニフェカラント
クラスⅢ群の抗不整脈薬で、アミオダロンがない場合に選択できます。
初回は0.3mg/kgで静脈内投与し、効果があれば0.4mg/kg/hrで持続投与します。

リドカイン
クラスⅠb群の抗不整脈薬で、アミオダロンがない場合に選択できます。
初回は1~1.5mg/kgで静脈内投与します。
効果不十分であった場合は初回投与分と合わせて3mg/kgになるまで投与できます。

炭酸水素ナトリウム
蘇生時のルーチンでの投与は効果がないばかりか、転帰を悪化させる場合があります。
高カリウム血症、三環系抗うつ薬中毒、アシドーシスが心停止の原因であると考えられる場合は血液のアルカリ化を目的に投与できます。
1~2mEq/kgを反復投与することが可能です。
メイロンは8.4%と7%の製剤がありますが以下のように換算する必要があります。
 8.4%製剤:1mEq/mL
 7%製剤:0.833mEq/mL
急変時のことだけを考えると8.4%のほうがわかりやすく感じますね。

ノルアドレナリン
ROSC後の低血圧に対して0.05~0.3μg/kg/minで持続投与します。
とはいえ急変時は正確な体重が不明なこともあります。

5Aを生食と合わせて50mLにし、5mL/hrで投与!(5ばっかりで覚えやすい)
これで40kg~80kgまでの人は0.1~0.2μg/kg/minで管理できる!
落ち着いてきてから正確な計算をする!

もちろん血圧に応じて増減は必要です。

ドパミン
ROSC後の低血圧に対して5μg/kg/minで開始、持続投与します。
600mg/200mLのバッグ製剤や150mg/50mLのシリンジ製剤があります。
50kgの人に5μg/kg/minで投与する場合は5mL/hrで投与するため、また5ばっかりですね。
バッグ製剤には換算表が付いてますので見ながら投与で問題ないんですが・・・

心停止の4つの波形

前述した通り、抗不整脈薬はVF/VT波形の時に使用します。
ということは心電図に表示される心停止の波形について知っておかないと使うかどうか予想ができませんね。

心停止に陥った時の波形は4つあり、電気ショックの適応のあるものとないものに分けられます。
電気ショックの適応
 ①VF:心室細動
 ②無脈性VT:無脈性心室細動
電気ショックの適応ではない
 ③PEA:無脈性電気活動
 ④asystole:心静止

①VF:心室細動

心室細動の心電図
看護roo!より引用

心筋細胞が無秩序に細かく興奮している状態です。
心臓のポンプ機能が失われて有効な心拍出がありません。
P波・QRS波・T波の区別ができず、形、大きさ、間隔がまばらの波が連続してみられます。
電気ショックの適応です。

②無脈性VT:無脈性心室頻拍

無脈性心室頻拍の心電図
看護roo!より引用

VTは心室内でのリエントリーや自動能亢進により発生するものです。
P波を伴わない幅広いQRS波がほぼ等間隔で連続してみられます。
VTには心臓のポンプ機能の保たれている場合と失われている場合があります。
心臓のポンプ機能が失われているものを無脈性VTと言い、電気ショックの適応です。

③PEA:無脈性電気活動

無脈性電気活動の心電図
看護roo!より引用

VF/VT以外の波形が確認されるが、脈拍が触知されない状態を言います。
心臓の電気的活動は保たれているのに、ポンプ機能が破綻している状態です。
脈拍が触知できないので心電図モニターのみで判断できません。
電気ショックは必要のない波形です。

④asystole:心静止

心静止の心電図
看護roo!より引用

心臓の電気的活動がすべて停止した状態です。
心電図では1本のほぼ平坦な線が表示されます。
リードの接続の確認、モニター上の感度や誘導の調整をしてから最終的に判断する必要があります。
電気ショックは必要のない波形です。

薬剤投与の実際

薬剤の投与は救命処置の一連の流れの中で行われます。
以下に示す例で確認しておきましょう。

◎VF/VTの場合

改訂第4版日本救急医学会 ICLSコースガイドブックより引用

上図ではVFになっていますがVTでも同じ流れになります。
まず2分おきに波形チェックすることを覚えておきましょう。
この時にVF/VTであれば電気ショックが適応です。
はじめのサイクルでは電気ショックの効果を確認します。
それでもVF/VT波形の場合はショック+アドレナリンで蘇生を試みます。
さらに効果が見られない場合は3サイクル目で抗不整脈薬を投与します。
アドレナリンは2サイクルおきの投与なのでこの時は投与しません。
アミオダロンは1度のみ追加投与が可能ですので、VF/VT波形が継続する場合は5サイクル目も投与できます。
静脈路は生食などで確保し、薬剤投与後は必ず生食20mL程度の後押しするか輸液を全開で30秒ほど落とします。

◎PEA/asystoleの場合

改訂第4版日本救急医学会 ICLSコースガイドブックより引用

上図ではPEAになっていますがasystoleでも同じ流れになります。
PEA/asystoleでは電気ショックの適応がありません。
そのため最初のサイクルからアドレナリンを投与します。
以降は2サイクルおきにアドレナリンを投与し続けることになります。
こちらのほうが流れとしてはシンプルになりますね。

◎ROSCした後
ROSC後は呼吸や意識の評価をします。
その上で呼吸、気道、循環のサポートや原因治療の検討、集中治療の手配をします。
ROSC後24時間は特に循環動態が安定しませんので低血圧へのケアが必要になります。
その際は前述したノルアドレナリンやドパミンを使用して管理します。
VF/VTからROSCした場合は抗不整脈薬の維持量の投与を継続しても良いとされています。

また昏睡状態でてんかん発作を生じ、しかも重責発作の場合は予後不良です。
てんかんを生じた時は速やかに抗てんかん薬の投与が必要になりますが、予防的投与は副作用の観点から推奨されていません。

まとめ

今回は急変時に使用する薬剤について解説してきました。
急変時に使用する主な薬剤は以下の通りです。

血管収縮薬
 ・アドレナリン
抗不整脈薬
 ・アミオダロン
 ・ニフェカラント
 ・リドカイン
その他の薬剤
 ・炭酸水素ナトリウム

これらの薬について使用する場面を知っておくことによって現場で慌てることもなくなります。
使用する流れや適応の波形などについても理解しておきましょう。
薬剤師だって急変対応|悔しい思いは終わりにしよう!の記事でも急変対応の流れを把握しておくとより慌てずに済みます。
また、今回参考にしている「日本救急医学会 ICLSコースガイドブック」でも詳しく解説されています。

今回の記事で急変時に活躍する薬剤師さんが1人でも増えたら幸いです。

それではまた!

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