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介護予防のために~現代人が知っておきたい「フレイル」とは?

栄養の知識

こんにちは、やくえいといいます!

介護には超高齢社会の現代日本において、超をいくつも付けたくなるほど重要な問題があります。

・医療費や介護費用などの社会保障の膨張
・介護者負担の増大と介護者不足
・要介護状態になることによる生産性の低下

などなど、思いつくことを挙げれば挙げるほど深刻になっていきます。
上記に挙げたことは社会的な問題ですが、それにより要介護者がその人らしい生活を送れるような支援も難しくなってしまいます。
当事者にとっても深刻な問題と言えそうですね。
最近は介護用ロボットの導入などの話も出ていますが、当たり前ですけど費用が掛かります。しかもかなり。
もちろんロボットの導入は人手不足を解消するために大変有効であることは理解しています。
ただ現状ではさすがに細かいところまで配慮はできないでしょう。

そこでこれからの時代、介護を予防することが非常に重要なものとなります。
その予防の観点から知っておきたいキーワードとして「フレイル」があります。
医療従事者はもちろんのこと、日本はじめ世界全体が健康に近づくために非医療従事者も知っておいてほしいです。
また、他にも様々な概念がありますが、今回はこのフレイルについて書いていきたいと思います。

                 

フレイルとは?

フレイルはfrailty(フレイルティ)が語源になっています。
日本語訳すると”虚弱”を意味します。

フレイルは簡単にいうと「加齢による心身の虚弱」とされています。
運動機能や認知機能の低下、慢性疾患などにより生活機能が障害している状態です。
しかし一方で適切な介入しさえすれば元通り、もしくはそれに近い状態に戻る段階のことをいいます。

公益社団法人東京都医師会 フレイル予防
https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/frailty

上の図のようにフレイルは健康状態と要介護状態の中間地点です。
近年はフレイルの前の段階「プレ・フレイル」という概念も主張されています。
縦軸に生活機能を取っていますので、健康状態⇒プレ・フレイル⇒フレイル⇒要介護の順に生活機能が落ちていきます。
ちょうどこの図は右に傾斜しています。
右に転がり落ちやすく、左に戻るのは大変ということです。
要するに何もしなければ要介護状態にすぐ移行するし、戻すにはそれなりに意識して努力しないといけないということです。
まだ若いと思っているうちからこの概念を知って意識しておかないと、後が辛くなるかもしれません。

このフレイルの状態になると身体能力が低下したり、病気にかかりやすくなると言われています。
転びやすくなり、時には骨折して入院。免疫力が落ちて感染症にかかり入院。ということが多くなるかもしれません。
また、入院による環境変化で精神状況に異常をきたすことが高齢者では特に多くみられます。
そうなると元通りの生活に戻すのが難しくなっていってしまいます。
何度も言いますが、結局予防が重要ということですね。

フレイルの原因を知ろう!

フレイルにはその原因に多面性があることを意識しておく必要があります。

✓ 身体的フレイル
✓ 精神・心理的フレイル
✓ 社会的フレイル

他にもありますが、大きくはこの3つが考えられます。
しかもこの3つはそれぞれ関連しています。

疲れやすくなったために家にこもり(精神・心理的)、筋力が低下(身体的)して転倒、骨折し入院。
環境変化により精神障害をきたす(精神・心理的)。
骨折は治って退院できたが以前のように収入が期待できない(社会的)。
動くことも少なくなって食事も進まず低栄養になり(身体的)、また転倒して骨折。

極端な例かと思われるかもしれませんが意外とそうでもないです。
こういったサイクルは頻繁に見受けられます。
どこかでこの負のサイクルを断ち切る必要があります。
そのためにフレイルの原因を知っておくことは大事ですね。

【フレイルの原因の例】
・食事量が減った
・外に出ることが減った
・収入が減った
・孤独になった
・交流が減った
・疲れやすくなった
・元気がない
・糖尿病やリウマチなどの慢性疾患がある
・もの忘れが増えた

これ以外にも多くの原因があります。
また、フレイルをチェックすることもできます。

監修:東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授 ストップフレイル「フレイルを予防して健康長寿を伸ばしましょう」
公益社団法人東京都医師会 フレイル予防
https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/frailty

指輪っかテストはサルコペニア(筋力や筋肉量の低下)の度合いがわかります。
イレブンチェックはフレイルを簡易的にチェックするものになります。
右側に〇がいくつ付くかでリスクがわかります。もちろん多いほうがリスクが高いです。
「はい」と「いいえ」が逆転している箇所があるので注意してください。


フレイルを予防しよう!

フレイルの予防はおわかりの通り、原因の対策をしていくことです!以上っ!
いやいや、それで終われるわけがないでしょう。笑
具体的に何をやっていけば良いのでしょうか。
フレイルの予防には運動機能や認知機能を維持し、社会と関わりを持ち続けることが重要です。
また、生活習慣病などの疾患を予防したり進行を抑えたりする必要があります。
しかもこれらは若いうちからやることに意味があります。

◎まずは疾患のコントロール
既に持病のある方は進行させないように医師の言うことをちゃんと守って、薬もちゃんと飲みましょう。
その際は薬を飲む意義について薬剤師などに聞いてから飲んでみると効果的です。アドヒアランスと言います。
まだ持病のない方は糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかからないよう、バランスの良い食事や適度な運動、睡眠を心がけましょう。

治療がうまくいかなかったり、病気にかかったりするだけで億劫になり、様々な行動を自然と抑制するようになりがちです。
身体を動かさなくなったりすることによってストレスもたまり、抑うつ傾向になると考えられます。
健康診断や人間ドックなどは定期的に受けて、ご自身の健康状態を把握しておくことも重要になります。

◎栄養バランスを考える

上記のように生活習慣病にかからないような食事は大事です。
ただし、それは中年期の話が主になります。
高齢になると、生活習慣病を意識した食事は栄養素が不足してしまう場合があります。
栄養障害はフレイルの大きなリスクです。
特に運動機能を維持するためのタンパク質やカルシウムなどが不足しがちです。
具体的には分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)やビタミンDを摂取すると良いと言われています。
食事で賄えれば良いですが、例えば一人暮らしである場合は品数が少なくなりがちです。
そのため補助的にサプリメントに頼ることも悪い選択ではありません。

◎外に出る

これには2つの意味があります。
1つは適度に運動するという意味で外に出かけるようにする必要があります。
適度な運動により筋力低下を予防します。
歩けるということは、それだけでフレイル予防になります。
上記の栄養と併せると効果的です。
2つ目は社会的との関わりを持つという意味です。
今の時代オンラインでことも済むとの意見があるかもしれませんが、外に出て交流を持つことに意味があります。
誰かと食事したり、同じ趣味の人を見つけたりすることをお勧めします。
ストレス解消にもなるため精神・心理的フレイルの予防にもなります。

◎口の中を清潔にして機能を保つ

歯が抜け落ちるなどの理由で噛みづらくなると、硬いものも食べにくくなります。
食べられるものも限られてきますね。
それによってどんどん噛む力、飲み込む力が落ちてきてしまいます。
食べる能力も意欲も落ちてしまいますね。
歯を残すということはとても重要ですね。
すでに入れ歯の人は、しっかり合っていればある程度硬いものでも食べることもできます。
修理もすぐできるので、合っていなければ直してしまいましょう。

また、飲み込む力が落ちると気管に食べ物が入ってしまうことがあります(誤嚥)。
これにより肺炎を起こしたり、最悪窒息してしまう可能性もあります。
口腔内の状態を良い状態に保っておくことはフレイルの予防になります。

これらは高齢者である方はもちろん、そのご家族などの身近な人も知っておくと良いです。
介護を予防するためには、フレイルを予防、進行させないことが必要になってきます。
そのために日常的にこれらのことについて配慮していくことが大事です。

まとめ

介護を予防するためにフレイルという概念について書いてきました。
歳を取っていくと心身の機能が衰えていくのはある程度仕方ありません。
ただ、歳を取ってからの生活は意識するだけで大きく変わっていきます。

「若いうちっていうけど、もうそんな若くないんだけど。いつまでなら間に合うの?」
その答えは「今日が人生で一番若い日」です。
とあるライオン学長の言葉で、僕も大好きな言葉です。
今行動を起こすことによって、未来の健康は何もしないより確実に良くなっていきますよ!
フレイルには多面性があります。

✓ 身体的フレイル
✓ 精神・心理的フレイル
✓ 社会的フレイル

多くの問題がからんできます。
そのため予防するには、病気のコントロールをしたり、適正な栄養をちゃんと摂ったり、外に出たり、口の中を清潔にしたり、やることはたくさんあります。
一つでも良いので今日から行動を起こしていきましょう。
皆さんの医療・健康リテラシーが向上すれば社会保障問題にもプラスに働くはずです。
将来のお金の不安もそうですが、健康の不安にも目を向けてくれる方が増えると嬉しいです。

それではまた!

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